「ディーゼルは燃費がいいと聞くけど、煤(すす)が詰まるって本当?」
「北海道の冬でも大丈夫?」
ディーゼル車を検討している方から、よく出る心配です。
当店ではいま、ディーゼルのマツダ デミオを販売していて、ときどき店主が試運転しています。この記事では、札幌での試運転で分かったことと、メーカーの取扱説明書に書いてあることをもとに、ディーゼルが合う乗り方・合わない乗り方をまとめました。
① 結論:合うかどうかは「1回に走る距離」で決まります
先に結論をお伝えします。
- 合う人: 1回にある程度の距離を走る方(通勤、近郊への移動、週末の遠出など)
- 合わない人: 10分以下の短い距離を、何度も繰り返す方(近所の買い物や送り迎えが中心)
「北海道だから合う」「冬だからダメ」ではありません。決め手は、住んでいる場所よりも乗り方です。
⚠️ 当店は、全員に「ディーゼルは大丈夫です」とは言いません。合わない乗り方の方が買うと、あとで困ることになるからです。理由は③で説明します。
② 札幌で約500km試運転した実際の数字
当店のデミオ(XDツーリング 4WD・1.5Lディーゼル・2016年式・走行約10.9万km)に、店主が試運転したときの記録です。
| 項目 | 実際の数字 |
|---|---|
| 試運転した期間・距離 | 約1か月・約500km(2026年9〜10月) |
| 乗り方 | 街乗り中心・1回あたり20〜30km |
| 燃費(満タン法) | 16.1km/L(366km走って、給油は22.74L) |
| 燃費(メーターの表示) | 18km/L台前半 |
| DPF表示灯(警告灯) | 一度も点いていません |
カタログの燃費(JC08モード)は22.8km/Lです。街乗り中心の満タン法で、その7割ほどという結果でした。
⚠️ この数字について、正直にお伝えしておくこと
- メーターの表示は18km/L台前半で、満タン法より1割ほど良い数字が出ています。ですからこの記事では、給油量から計算した「満タン法」の16.1km/Lを使います
- 給油1回ぶんの数字です。満タンの止まり方で、1km/Lほどは前後します
- 500kmは短い距離です。長く乗った結果ではありません
- 9〜10月の数字です。冬は暖機や雪道で、燃費は落ちます。冬の数字はまだ持っていません
- 1回20〜30km走っています。「短い距離ばかり」の乗り方ではありません
➡️ つまりこれは、「合う乗り方」をした場合の一例です。
燃料代で比べると
北海道の店頭価格(2026年10月13日・資源エネルギー庁の調査)は、レギュラー171.7円/軽油162.2円でした。軽油のほうが1Lあたり9円ほど安い計算です。
年間1万km走った場合の燃料代を計算すると、こうなります。
| 車 | 燃費 | 年間の燃料代 |
|---|---|---|
| このデミオ(軽油) | 16km/L | 約10.1万円 |
| ガソリン車 | 16km/L | 約10.7万円 |
| ガソリン車 | 15km/L | 約11.4万円 |
| ガソリン車 | 12km/L | 約14.3万円 |
同じ燃費なら、差は年に6千円ほどです。差が大きくなるのは、燃費そのものが違うときです。ですから「軽油が安いから得」というより、「4WDでこの燃費が出るから得」と考えるのが正確です。
いまお乗りの車の燃費と比べてみてください。雪道のために4WDを選ぶと燃費は落ちやすいので、4WDで16km/Lというのは、札幌では意味のある数字だと思います。
数字に出ない良さ:低い回転から力が出る
このエンジンの最大トルクは25.5kgm(1,500〜2,500回転)です。マツダの発表では、2.5Lのガソリン車並みの数字です。排気量は1.5Lなので、その差が出るのが低い回転のときです。
- 雪道の発進で、アクセルを大きく踏まなくても進む
- 坂道での踏み足しが少なくて済む
これは一度乗っていただくのが一番早いと思います。試乗もできます。
③ 合わない乗り方:「10分以下の短い距離」の繰り返し
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
ディーゼル車にはDPFという装置が付いています。排気ガスの中の煤(PM)をフィルターで集めて、たまったら燃やして取り除く仕組みです。
ふつうに走っていれば、煤は自動で取り除かれます。ところが、マツダの取扱説明書には、自動で取り除かれない場合としてこう書いてあります。
- 車速約15km/h以下で走り続けているとき
- 10分以下の短時間走行の繰り返しや、エンジンが暖機できないような走行を繰り返したとき
- 長時間アイドリング状態のとき
➡️ 近所の買い物や送り迎えだけ、という乗り方がこれに当たります。
DPF表示灯が点いたらどうするか
同じ取扱説明書に、対処も書いてあります。
- 点灯したとき: エンジンが十分に暖まった状態(水温80℃以上)で、20km/h以上でおよそ15〜20分走る
- 点滅したとき: ただちに販売店で点検を受ける
つまり「ときどき20分ほど続けて走る」ことができれば、付き合える車です。それが生活の中で難しい方には、おすすめしません。
⚠️ 上はデミオ(SKYACTIV-D 1.5)の取扱説明書の内容です。車種や年式で違うことがありますので、必ずお乗りの車の取扱説明書を確認してください。
冬は、もう一段気をつけたい
冬はエンジンが暖まるまでに時間がかかります。同じ5分の買い物でも、夏より「暖まらないうちに止める」ことになりやすい季節です。
短い距離が中心の方は、冬のほうが条件が厳しくなると考えてください。
正直に書いておきます:この車の整備記録のこと
当店のデミオは、前のオーナーさんの整備記録に、煤の対策が4回残っています(リコール対応、車検時の清掃など。すべてマツダの正規ディーラーで実施)。
「ディーゼルは乗り方と手入れで差が出る車」だということは、この記録からも分かります。隠すことではないので、車両のページにも表で載せています。
もう一つ。試運転していた1か月の間に、エンジンを止めたあともファンが回り続けたことが1回ありました(20kmほど走ったあとです)。
マツダがWebで公開している電子版の取扱説明書には、エンジンルームを早く冷やすために、電源をOFFにしてもファンが数分間回ることがあると書かれています。ただ、この車に載っている冊子には、同じ説明がありませんでした。年式によって説明書の内容が違うのかもしれません。そのあともDPF表示灯は点いていませんが、初めてだと驚くと思いますので、書いておきます。
また、この車の冊子には、走行中に自動で煤を取り除いているときは、エンジン音や排気ガスの臭いが変わることがあると書かれています。こちらは、仕組みどおりの動きです。
④ 北海道の冬とディーゼル:軽油の話
「軽油は寒いと凍る」と聞いたことがあるかもしれません。
正確には、温度が下がると、軽油に含まれる成分(パラフィン)が固まって出てきて、燃料フィルターを詰まらせることがあります。
そのため軽油は、JIS規格で5種類(特1号・1号・2号・3号・特3号)に分かれていて、季節と地域に合わせたものが売られています。
| 種類 | 流動点(流れなくなる温度の目安) |
|---|---|
| 特1号 | +5℃以下 |
| 1号 | −2.5℃以下 |
| 2号 | −7.5℃以下 |
| 3号 | −20℃以下 |
| 特3号 | −30℃以下 |
寒冷地では、冬に3号・特3号が使われます。
➡️ 北海道で給油して、北海道で乗っている分には、特別なことをする必要はありません。スタンドで売られている軽油が、その時期の寒さに合わせたものになっています。
⚠️ 気をつけたいのは、暖かい地域で入れた軽油のまま、寒い地域へ行く場合です。石油連盟も、現地で売られている軽油を給油しないと、エンジンが止まるなどのトラブルになることがあると案内しています。
- 冬に本州からフェリーで車を持ってくる方
- 道内でも、冬の初めに長く乗らずに置いていた車(夏の軽油がタンクに残っている場合)
こうした場合は、早めに現地のスタンドで給油しておくと安心です。
⑤ ディーゼルの冬の朝:暖房の話
冬の朝、乗り込んでから車内が暖まるまでの寒さは、札幌で車に乗る人の共通の悩みです。
当店のデミオで測ってみました。10月中旬、外気温11℃の日に、1週間エンジンをかけていなかった状態から走り出して、約4分で温かい風が出てきました。真冬の数字は、まだ持っていません。
当店のデミオには、これを補う装備が2つ付いています。
- シートヒーター(運転席・助手席) … 温風が出る前から、座面が暖まります
- リモコンエンジンスターター(後付け・動作確認済み) … 家の中からエンジンをかけておけます
⚠️ ただし、エンジンをかけたまま長く置くのは控えめに。長時間のアイドリングは、③で書いた「煤がたまりやすい乗り方」の1つです。暖機は短めにして、走りながら暖めるのがディーゼルには合っています。
よくある質問
Q. 走行10万kmを超えたディーゼルは、やめたほうがいい?
距離だけでは決められません。見ていただきたいのは、どう乗られてきたかと、整備の記録が残っているかです。
- 年間の走行距離が多い車は、短い距離の繰り返しではなかった可能性が高い
- 整備記録簿があれば、煤の対策や燃料フィルターの交換がいつ行われたかが分かる
⚠️ ただし、DPFやインジェクターは消耗する部品です。距離が伸びれば、交換が必要になる時期は近づきます。
Q. 中古車の保証で、DPFは直してもらえる?
保証によります。当店で扱っている1年保証(エンジン・動力伝達機構)では、DPF・インジェクター・ターボは対象外です。
ディーゼルでいちばん心配される部分が、保証では守れません。だからこそ、買う前に乗り方が合っているかを確かめることが大事だと考えています。
Q. 週に1回しか乗らない場合は?
1回に乗る距離によります。週1回でも、20分以上続けて走るなら、取扱説明書の言う「短時間走行の繰り返し」には当たりません。
毎回5分で終わるなら、ガソリン車のほうが合っています。
当店のデミオについて
この記事の数字は、販売中の マツダ デミオ XDツーリング 4WD(総額64.8万円)のものです。
- 整備記録簿22件(新車からずっとマツダの正規ディーラーで整備)
- 下回りの写真42枚を公開しています
- 試乗できます(札幌市清田区・厚別区・白石区・豊平区・北広島市)
スタッドレス(ダンロップ WINTER MAXX 03・2025年製)を付けてお渡しします。交換の時期については札幌の冬タイヤ(スタッドレス)交換はいつ?にまとめました。

「自分の乗り方だとディーゼルは合う?」というご相談だけでも大丈夫です。合わないと思えば、正直にそうお伝えします。ガソリン車を車探し代行でお探しすることもできます。
まとめ
- ディーゼルが合うかどうかは、1回に走る距離で決まる
- 合う人: 1回にある程度の距離を走る方。合わない人: 10分以下の短い距離を繰り返す方
- 当店のデミオは、1回20〜30km・街乗り中心で約500km走って、満タン法で16.1km/L(メーターの表示は18km/L台前半)。DPF表示灯は点いていません(1か月時点・冬の数字はまだありません)
- 軽油はレギュラーより1Lあたり9円ほど安い(北海道・2026年10月中旬)。ただし燃料代の差が大きくなるのは「燃費がいいから」
- 冬の軽油は、北海道で給油していれば心配いりません。暖かい地域の軽油のまま寒い場所へ行くときだけ注意
- DPF・インジェクターは、保証の対象外になることが多い。買う前に乗り方を確かめる
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参考にした資料

